スタッフ記憶箱シリーズ②
三方湖の野鳥、今回は「カワウ」です。
全長80cm以上、体重2kg以上、翼を広げると翼長130cm以上ある大型の鳥で全身ほとんど黒色です。繁殖時期には顔に白い羽毛が生えますが、個体によって生え方には差があります。くちばしの付け根は黄色く丸みがあります。
日本野鳥の会の資料によると、1970年代には3000羽以下まで減った時期もあるそうです。その後公害規制により河川の水質が向上して餌になる魚が増え、現在では15万羽以上に増えているそうです。増えすぎると地域固有の環境に影響が出たり、農林水産業被害が深刻化したりします。その結果として、2007年には狩猟鳥となっています。また、樹上で集団で営巣する特徴があります。
次の2枚の写真は、三方五湖自然観察棟の望遠鏡を通して撮影したものです。焦点が合いにくくややぼやけた写真になっていますが、杭の上に留まっている様子が分かります。
杭に留まっているときのカワウは、次のどちらかです。
・翼をたたんで休息している
・風を浴びながら翼を広げ小刻みに震わせて乾かしている
(水に潜って魚を捕食するため翼の油分が少ない。そのため翼はあまり水をはじかずずぶ濡れになる。)
また、三方湖では、魚を捕食するためにカワウが潜る姿はまず見られません。三方湖は水深が浅くほとんど濁っています。カワウは河川まで飛んで行って新鮮な魚を捕食しているのです。カワウを眺めていると、その仕草や顔つきに見入ってしまいます。どことなく心惹かれるカワウです。
そんなカワウですが、飛び立つときには水面を脚で蹴って助走し、まるで飛行機が滑走路を飛び立つときのようです。やはり大型の部類に入る鳥なのです。
新型コロナウィルス感染症が世界規模で広がり、私たちの生活様式や働き方が大きな影響を受けています。コロナへの関心とともに、環境問題に関する関心も高まっています。
それは、おそらく人間がさまざまな行為や活動を積み重ねた結果が、命に関わる問題につながっているからではないでしょうか。SDGsに関し積極的行動を始める人も増えているようです。
さて、さとけん日記も工夫改善を意識しなければ、と思います。これまでうっかり気づかず見過ごしてきたものに今一度意識を振り向けてみます。
今回は「カルガモ」です。
野鳥図鑑を紐解けば詳しい説明がされているので、日々眺めてきた筆者の記憶箱から思い出せるものを取り出してみます。
・湖面にいるときは水に隠れて見えないが、足は鮮やかなオレンジ色。
・全体にこげ茶色だが、翼の中でも左右の脇の翼(翼鏡:よくきょう)は青色で美しい。
・留鳥(1年中見られる鳥)だが、エサや繁殖の関係からか多くは冬に南下してくる。
求愛期を経て春には北上する。
・求愛行動は一定のパターンがあるので、次第に分かってくる。
・真冬で北西季節風が強いときは、群れ全体が頭を風上に向け波間で揺れ続ける。
水中で足を動かして続け、寒さをものともしない。
・冬の陽だまりでは桟橋や岸辺の石に上り、首を縮め体をふくらませて暖をとる。
・観光地のカルガモと違い、誰も餌をやらないので人からは常に一定の距離を保つ。
・そっと近づいても写真のように一斉に飛び立ってしまう。
・産卵場所は水辺の草むらなどが多いようだが、まだお目にかかっていません。
・水草のような植物や小魚、昆虫を餌とする。
・田植え時には田んぼで餌をとる姿がよく見られる。
・田んぼは穂が伸びると姿を隠しやすく、雛を育てるには都合がよいようだ。
人間よりはずっと短い寿命(平均で5~10年程度)ですが、いつも見ていると可愛らしく、また健気に感じられてきます。多くの皆さんに三方の湖にカルガモを見に来ていただきたいと思います。
雨の日が続き、ハス川の水量が増してきました。
三方湖のコイとフナが遡上を始めているとの情報があり、当研究所の石井研究員がハス川支流の高瀬川に産卵用のシュロを設置するというので同行しました。
シュロを設置する理由は、シュロに産卵させ、その卵からふ化した稚魚を水田で育てるためです。近隣の農家さんのご協力をいただいて、田植えを終えた田んぼでコイとフナの稚魚を育てます。田んぼの中では稚魚が育ちやすく、最終的には中干し時期に排水と共に三方湖に戻します。かつては遡上するコイやフナが田んぼまで遡上した後に産卵していましたが、圃場整備により直接田んぼまで遡上することはできません。そこで人為的に水田に稚魚を放したり、魚道を設置することで地域固有の稚魚を増やすことにしています。
コイやフナは水をたくさん蓄えた水田を目指し、三面張りの急流も勢いよく上っていきます。ところが今日はあまりにも水の流れが速く、途中で戻され、少し休憩してから再度チャレンジる姿が見受けられました。
また、田植えの準備が始まり、田んぼの代かきによる泥水が多く排出される場合があり、水路の合流地点では水の色の違いが明瞭にわかる場所がありました。
コイやフナの水田での育成事業や、代かき水による濁水排出の防止など、三方五湖自然再生協議会で取り組む事業はつくづく大切だと感じた1日でした。
野鳥の会のYさんから、「自然観察棟に」ということで、水鳥のぬいぐるみを2体いただきました。
マガモとミコアイサです。なんという完成度の高さでしょう!
自然観察棟の冬季イメージキャラクターにしようと思います。
ということで、皆様からそれぞれ愛称を募集したいと思います。
応募される方は、1月中に下記にメールをお願いします。
(申し訳ありませんが採用されても特典は準備していません。ご容赦ください。)
satoyama@pref.fukui.lg.jp
それから、水鳥観察会参加者募集のご案内です。
○日時:1月31日(日)、2月14日(日)
いずれも①10:00~11:30
②13:00~14:30
各回5組まで
○参加費:50円/人、材料費100円/組
○講師:日本野鳥の会福井県支部 嶺南ブロックのみなさん
○その他:薪ストーブ体験会も行います。
観察会の最後に薪ストーブを使って焼き芋を焼きます。
ストーブの詳しい説明も行います。お楽しみに!
詳しくは↓
【1/31、2/14開催】「冬の水鳥観察会in三方湖」参加者募集中!|新着情報|福井県里山里海湖研究所 (fukui.lg.jp)
12月に入っても比較的暖かい日が続いていましたが、ついに寒波到来です。12月16日、初雪となりました。三方五湖も白く雪化粧して景色が一変、冬本番を迎えました。
この寒波とともに、北からたくさんのカモの群れがやってきました。久しぶりに見るにぎやかな景色です。渡り鳥にはこれくらいの寒さはどうということもないのでしょう。グワッ、グワッと大きな鳴き声が響き渡っています。
縄文ロマンパークの竪穴式住居も、ご覧のとおり白く雪化粧して、ふだんとは違う趣きです。遊歩道の落葉樹には茶色い葉がまだたくさん残っていて、急に寒くなったことを教えてくれています。
これから年末年始を迎えますが、コロナ禍の年の瀬です。くれぐれも健康と安全には気をつけたいものですね。