福井県里山里海湖研究所

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2016年08月のコラム
  • 北川淳子
     8月8日と9日に、島根大学の瀬戸先生と香月先生と共同で、北潟漁協の協力のもと、北潟湖の水質と底質の調査をしてきました。湖の北から南にかけて、水温や塩分、酸素、濁度、クロロフィル量などを測っていきました(写真1)。湖はアオコと赤潮が発生していて、透明度が1m以下のところがほとんど。今年は雨が少ないので、発生しやすいそうです。塩尻橋から上流は塩分濃度が低く、アオコが発生し、それより下流は塩分濃度が高く、赤潮が発生していました(写真2~4)。これがくっきり出ていて、見事でした。湖はつながっているのに、どうなっているのか興味がわきます。
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    写真1 船から水質計を下して調査 写真2 発生していたアオコ
     
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    真水を3 水を採取 写真4 場所によってさまざまな色を呈する水

     底質調査のためにエグマンパージ採泥器という道具で、湖底の泥の採取もしました。水質調査では湖の底は酸素が少なく、湖底の泥は真っ黒で臭いだろうと思ったら、そうでもなく、黒いには黒いけれど、臭いは少なめでした(写真5)。仮説としては、この原因は、湖のプランクトンは日中、光合成をして酸素をつくり、底に酸素がいきわたるけれど、夜には呼吸して酸素を使い尽くすために、黒い堆積物になる、というものですが、実際どうなのかはわかりません。夏の暑い時に、朝から晩まで夜通し調査する必要があるそうです。私たちの調査ではそこまでしていません。
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    写真5 エグマンパージ採泥器で採取した湖底の真黒な泥

     結果は、データの整理ができていないので、整理できてからのお楽しみです。
     
  • 北川淳子
     この季節になると、道端にあちこちクズがつるを伸ばしているのを見かけます。日本ではありふれた風景で、昔はこのつるをロープ代わりに使ったり、根からデンプンをとったり、また、薬用(葛根湯)として利用してきました。荒地にはびこり、それなりに邪魔ではあるけれども、日本ではとりあえず有用植物の1つで、空き地なら放置されています。このクズを19世紀後半に日本人が北米に持って行きました。当初は家のフェンスのように利用したり、家畜のえさにしたりしたそうですが、その繁殖力はすさまじく、あちこちに広がり、現在、侵略的外来種に指定されています。ちなみに、クズの花粉は、あれほどたくさん生えているのに、ほとんど湖に堆積していません。個人的には、クズの花の甘い香りが大好きで、クズがなくなったら寂しく思います。
     最近、ケンタッキー州のパインマウンテンというところであった学会に参加してきましたが、ここでもクズの侵略はすさまじいものでした。しかし、日本人にとってなじみのある風景で、山の中にあるだけで、別にそう目くじらたてることもなかろうに、と思うのですが、アメリカ人は侵略されているという気分だそうです。私に、「なぜ日本人はクズを侵略種と考えないんだ?」と聞いてくるアメリカ人も。日本では昔から利用してきて、有用だから、という回答には納得しなかったようです。いろいろ思案したところ、アメリカ人と日本人の思想の違いによるもののように思えてきました。日本人は少々不必要なものがあっても寛容に受け入れる傾向にあるようです。北米では、庭にタンポポが入ってくると、目くじらを立てて引き抜きます。しかし、日本の場合、ああ、タンポポ生えてきた、かわいい、くらいの認識ではないでしょうか。極端な例ですが、北米にはミルクウィードと呼ばれる雑草がありますが、あまりに除去しすぎたために絶滅危惧種になっています。日本人はここまで極端に行動しないと思います。
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    写真1 パインマウンテンで広がるクズ

     さて、学会のあったパインマウンテンですが、アパラチア山脈の一角で、北米ではめずらしく落葉広葉樹の森に覆われていました。ブナと巨大なユリノキがたくさん生え、アメリカでは絶滅危惧種であるクリの木もたくさんありました(写真2)。さて、このクリの木が絶滅危惧種になった理由ですが、日本のクリの木が原因です。1900年ごろ、日本から輸入したクリ材に病原菌がまぎれ、それが広まり、アメリカのクリは絶滅寸前になったそうです。日本のクリはその菌に耐性があり、持っていても問題ないのですが、アメリカのクリには耐性がありません。パインマウンテンではたくさんのクリの木があったのですが、よく見るとみんな若い木でした(写真3)。老樹は病気になりやすいらしく、大きくなる前に、病気でなくても切ってしまうそうです。クリの木の切り株があちこちに見られました。これは日本人的でない、実にアメリカ的な行動と言えそうです。
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    写真2 パインマウンテンの落葉広葉樹林。ユリノキや、ブナ、クリなどが多くみられる。 写真3 パインマウンテンのクリの木。若い木のみが残されている。

     日本でも竹はいろいろ問題を起こしていますが、パインマウンテンにも竹がありました(写真4)。こちらも侵略的外来種です。いつどういう経緯で入ったのかは知りませんが、パインマウンテンの一角に竹ヤブがありました。なかなかいい風景と思ったのですが、現地の人は、竹は困ったものだ、と。学会の期間中の1時間程度、ボランティアで参加者が竹を刈る作業をしました(写真5)。すると、内側が枯れ、外側だけが元気というどうしようもない状態だとわかりました。外から見ると広い土地の一角だけなので、日本人的にはいい感じですが、確かに、内側が枯れて、外へ外へ広がるので、迷惑なものなのだと納得しました。それならば、少しなので、日ごろから管理しておけば公園のよいアクセントになるように思うのですが、芝生のように手入れはせず、迷惑なので、とにかく除去したいようです。人海戦術は有効で、竹やぶの半分がなくなりました。日本の竹ヤブの手入れはこの程度ではなんともならない気がしますが。
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    写真4 学会会場の庭の竹ヤブ。 写真5 ボランティアで竹を除去している。中の方は枯れた竹ばかりが出てきた。

     学会では越前ソバの話をしました。なかなか好評で、寒冷化とソバ栽培の関係がきれいにでているとびっくりしていました。福井にそばを食べ に行きたい、という人が結構いました。
     

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