7万年以上の歳月にわたり、乱れのない年縞が積み重なった水月湖には、地形や周辺環境における4つの条件がありました。
①流れ込む大きな河川のない地形
水月湖には、直接流れ込む大きな河川がなく、三方湖で緩やかになった流れが静かに注がれるため、水の動きがほとんどありません。そのため、大雨による大量の水の流入がなく、湖面の水がかきまぜられず、堆積物が静かにたまっていくことができました。
|
 |
②山々に囲まれた地形
周囲が山に取り囲まれていたため、風が遮られ、波が起こりにくいことにより、湖水がかき混ぜられることがありません。
③生物のいない湖底
水月湖は、水深が最大で34mと深く、湖水がかき混ぜられないため、湖底近くには酸素がありません。そのため、湖底に堆積物をかき乱す生物がいません。
④埋まらない湖
通常、湖は堆積物が積もり続ければ、水深が浅くなっていきます。しかし、水月湖は、周辺の断層の影響で、長い間少しづつ沈降し続けています。そのため、水深が深いまま湖底に堆積物が溜まり続けています。
このような、4つの条件が偶然に重なり、長い間年縞が形成されてきました。年縞は日本では8つの湖で確認されていますが、水月湖のように7万年もの連続性をもったものはありません。年縞形成におけるこのような条件が揃った湖は世界的にも珍しく、まさに「奇跡」の湖と言えます。

|