福井県里山里海湖研究所

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宮本 康 の論文
研究活動の紹介(宮本研究員;森里川海連環)

1.研究概要

 もともとは海岸域・汽水域のベントス(底生生物)群集を研究していましたが、今は汽水湖沼群である三方五湖を主なフィールドとして、人間活動と生態系の関係を歴史的に捉える「歴史生態学」の研究を行っています。
 現在の沿岸生態系の姿(生息地の性状・水質・ベントス群集の組成)は過去の人間活動の影響を反映しています。例えば、江戸時代の新田開発や戦後の治水工事は、海洋や汽水域の沿岸生息地を改変するとともに塩分環境にも影響を及ぼし、これらの影響の下、現在のベントス群集が形成されています。
 私の研究では、水辺のベントス調査と歴史資料(古文書と地域伝承)の調査を組み合わせ、人間活動の歴史が現在のベントス群集にどのような影響を与えているのかを調べています。この研究で得られた成果は、三方五湖自然再生協議会での自然再生活動(特に水辺の生息地の再生)や、三方五湖世界農業遺産推進協議会の活動に活用されています。今日の自然再生活動は最新の科学的知見に基づくものが多いですが、ここに歴史的な視点(例えば現在の生態系の姿を生み出した歴史的なイベント情報・過去の生態系の姿・地域の自然資源を守るための歴史的な知恵など)を加えることが私の狙いです。
 また、歴史資料には過去の自然災害や災害対策に関する情報も含まれているので、これらの情報を地域の気候変動適応に活かすことも視野に入れています。
 

2.学位

・博士(水産学)(2000年、北海道大学大学院水産学研究科)
 

3.略歴

2000~2002年 日本学術振興会特別研究員(PD)(京都大学生態学研究センター)
2002年 名古屋大学情報文化学部 非常勤講師
2002~2004年 島根大学汽水域研究センター 研究機関研究員
2004年 京都大学生態学研究センター 教務補佐員
2004~2006年 島根大学汽水域研究センター 研究員
2006~2011年 鳥取県衛生環境研究所 特別研究員
2011~2016年 鳥取県衛生環境研究所 上席研究員
2016年~現在 福井県里山里海湖研究所 研究員
2017年 福井県立大学非常勤講師
 

4.所属学会

・日本生態学会
・日本ベントス学会
  創立30周年記念本運営委員(2017年~)
 

5.研究成果(着任以降 2016年~)

■ 図書・論文

  • 宮本 康(2019)三方五湖のシジミ:シジミを知り味わい、シジミを通じて歴史を学び、湖の将来を考える(編著).里山里海湖ブックレット2,福井県里山里海湖研究所,62pp.ISSN 2433-9148
  • Miyamoto Y, Nakano T, Yamada K, Hatakeyama K, Hamaguchi M (2019) Combined effects of drift macroalgal bloom and warming on occurrence and intensity of diel-cycling hypoxia in a eutrophic coastal lagoon. Estuaries and Coasts 42:494–503. https://doi.org/10.1007/s12237-018-0484-6

 (※ Coastal and Estuarine Science News(2019年3月版)でハイライト論文に選出!
「High temperatures and macroalgae make a deadly duo. Warm waters and algal blooms combine to cause coastal hypoxia.」https://www.cerf.science/cesn-march-2019

  • 山田勝雅・宮本 康・畠山恵介 (2018) 中海におけるホトトギスガイのマットと大型海藻マットの空間形成.Laguna(汽水域研究)25:81-92.
  • Miyamoto Y, Seikai T, Yoshida T (2018) Habitat restoration for Shijimi clam using local Knowledge in the brackish lagoon Kugushi-ko. Proceedings of the 17th World Lake Conference, Lake Kasumigaura, Ibaraki, Japan, 2018: 253‒255.
  • 宮本 康(2018)地域の歴史を踏まえて三方五湖のフナを守る:三方五湖自然再生事業「湖と田んぼのつながり再生部会」の取り組み.国立公園 763:10-12.
  • Miyamoto Y, Yamada K, Hatakeyama K, Hamaguchi M (2017) Temperature-dependent adverse effects of drifting macroalgae on the survival of Manila clams in a eutrophic coastal lagoon. Plankton and Benthos Research 12: 248-258.
  • Miyamoto Y, Iwanaga C (2017) Effects of sulfide on anoxia-driven mortality and anaerobic metabolism in the ark shell Anadara kagoshimensis. Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom 97: 329-336. doi:10.1017/S0025315416000412
  • Yamada K, Miyamoto Y, Nakano T, Okamura K (2016) Inter- and intra-specific variation between anoxic and sulfurated survival in three bivalve species in intertidal and subtidal area along the coasts of Japan. Plankton and Benthos Research 11: 49-56.
  • 作野裕司・前田晃宏・宮本 康・森 明寛・岡本将揮・九鬼貴弘(2016)汽水湖東郷池における非接触クロロフィル推定手法の検証.土木学会論文集B3(海洋開発)72:964-969.
  • 岡本将揮・宮本 康(2016)鳥取県湖山池の海水導入前後における植物プランクトン群集の変化.Laguna(汽水域研究)23:1-12.
  • 前田晃宏・宮本 康・森 明寛・岡本将揮・九鬼貴弘・作野裕司(2016)UAVを利用した汽水湖沼の実用的な赤潮観測の事例.日本リモートセンシング学会誌 36::126-130.

■ 報告書・その他

  • 宮本 康(2019)里海湖再生のために地域の歴史を調べ、現在の富栄養化と温暖化の影響を評価.福井県里山里海湖研究所年報2019:32-33.
  • 宮本 康(2019)シジミのすむゆたかな水辺を未来へ:三方五湖のシジミについて学ぼう(啓発冊子).三方五湖自然再生協議会 シジミのなぎさ部会,6pp.
  • 宮本 康(2018)地域の歴史を踏まえ、里の力で三方五湖のフナを守る.福井県里山里海湖研究所年報2018:36-39.
  • 宮本 康(2017)ヤマトシジミの分布を通して三方五湖の森里海湖連環を考える.福井県里山里海湖研究所年報2017:36-39.

■ 学会発表・シンポジウム

  • 宮本 康(2019).過去100年間における水月湖生態系の変化:歴史記録を用いた環境復元第66回日本生態学会大会,神戸,2019年3月.(ポスター)
  • Miyamoto Y, Seikai T, Yoshida T (2018) Habitat restoration for Shijimi clam using local Knowledge in the brackish lagoon Kugushi-ko. 17th World Lake Conference, Lake Kasumigaura, Ibaraki, Japan, Oct, 2018.(口頭)
  • 石井建祐・青海忠久・富永 修・宮本 康・浜口昌巳(2018)福井県三方五湖におけるヤマトシジミ(Corbicula japonica)幼生の時空間分布.平成30年度日本水産学会秋季大会,広島,2018年9月.(口頭)
  • 宮本 康・金谷 弦・多留聖典・吉田丈人(2018)再生ハビタットにおけるベントス群集の比較:現代法と伝統法による再生なぎさの比較.2018年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会,八王子,2018年9月.(口頭)
  • 山田勝雅・小森田智大・宮本 康・石松将武・Wachirah Jaingam・堤 裕昭・逸見泰久(2018)貧酸素水塊の移入に対するベントス群集の応答:群集形成パターンの評価.2018年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会,八王子,2018年9月.(ポスター)
  • Miyamoto Y, Seikai T, Yoshida T (2017) Effect of past river alteration on spatial distribution of Shijimi clam in the Lakes Mikata-goko: the evaluation using TLK (Traditional Local Knowledge). The Third Asian Marine Biology Symposium, Kumamoto Prefectural University (Kumamoto), Nov, 2017.(口頭)
  • 宮本 康(2017)人と三方五湖のかかわり,そして自然再生.第17回世界湖沼会議(いばらき霞ヶ浦2018)プレ会議,つくば国際会議場(つくば市),2017年11月.(口頭)
  • 宮本 康(2017)三方五湖: 世界最古の漁業と利活用のシステム.三方五湖とつながるシンポジウム,リブラ若狭(若狭町),2017年10月.(口頭)
  • 宮本 康・青海忠久(2017)三方五湖におけるヤマトシジミの分布域と人為改変・気候変動の関連.2017年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会,滋賀県立大学(彦根市),2017年9月.(口頭)
  • 宮本 康(2016)三方五湖のヤマトシジミ個体群の保全に向けて:日本海の海面上昇の影響を評価する.第64回日本生態学会大会,東京,2017年3月.(ポスター)
  • 宮本 康(2016)日周性貧酸素がアサリの個体群動態に与える影響:中海を例に.2016年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会 公開シンポジウム「貧酸素水に対する生物の応答」,熊本,2016年9月.(口頭)
  • 作野裕司・加藤 光・前田晃宏・宮本 康・森 明寛・岡本将揮(2016)携帯型分光計搭載UAVを用いた東郷池の非接触クロロフィル測定実験-2015年9月-.日本リモートセンシング学会第60回(平成28年度春季)学術講演会,習志野,2016年5月.(口頭)

■ 研究助成実績

  • 科学研究費(基盤研究(C))(2018年4月~2021年3月)研究代表

  沿岸・汽水域生態系における人間活動の影響評価:地域的知識の活用
 

6.参加中の研究プロジェクト

  • 総合地球環境学研究所研究プロジェクト,人口減少時代における気候変動適応としての生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)の評価と社会実装,福井サイトサブグループ(2018年~)
  • 環境研究総合推進費(環境省)戦略的研究開発領域(I)S-15 社会・生態システムの統合化による自然資本・生態系サービスの予測評価,サブテーマ2(3)自然資本・生態系サービス管理における参加型管理オプションと伝統・地域知の評価(2016年~)
     

7.地域貢献

  • 湖山池環境モニタリング委員会委員(事務局:鳥取県・鳥取市)(2018年~)
  • 三方五湖自然再生協議会 自然護岸再生部会員・シジミのなぎさ部会員(2016年~)
  • 三方五湖世界農業遺産推進協議会 有識者(2016~2018年)

 


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