彼岸花が咲いているのを見かけるようになりました。いよいよ秋です。
いたるところで稲刈りが行われ、研究所の近くにある若狭町立三方小学校でも、学校田の稲刈りがありました。研究所からも石井研究員、樋口研究員が参加しました。
三方小学校の学校田は、通称「ゆりかご田」と呼ばれ、三方五湖自然再生協議会の農法部会の「環境にやさしい農法認証制度」の認証を受けています。春先には田んぼで三方湖のコイ・フナの育成を行い、無農薬、減化学肥料で作られています。一番の苦労は草取りだそうで、農法部会のメンバーも何回か指導のために参加されています。
子供たちは手刈り作業と落穂拾い、大人はコンバインを使って脱穀作業です。暑い中、泥のくっついた重たい長靴で、しっかり水分補給を行いながら頑張ります。
草取り、稲刈りなどの苦労と楽しさを体験した子供たちですが、お米を大切に感じる気持ちは強くなったことでしょう。今日の晩御飯はきっとおいしいに違いありません。
ちなみにコンビニでコーラ1杯100円、ハンバーガーも100円のものがあります。茶碗1杯のご飯の値段は20円~30円です(※)。日本のお米は本当に高いのでしょうか?稲刈り作業をしている子供たちを見ながら、疑問に感じた今日でした。
※コシヒカリの販売価格(白米) 20,000円/60㎏として
茶碗中盛のごはんを150gから180gとして、白米にすると75g
60㎏÷75g=800杯
20,000円÷800杯=25円
スタッフ記憶箱シリーズ②
三方湖の野鳥、今回は「カワウ」です。
全長80cm以上、体重2kg以上、翼を広げると翼長130cm以上ある大型の鳥で全身ほとんど黒色です。繁殖時期には顔に白い羽毛が生えますが、個体によって生え方には差があります。くちばしの付け根は黄色く丸みがあります。
日本野鳥の会の資料によると、1970年代には3000羽以下まで減った時期もあるそうです。その後公害規制により河川の水質が向上して餌になる魚が増え、現在では15万羽以上に増えているそうです。増えすぎると地域固有の環境に影響が出たり、農林水産業被害が深刻化したりします。その結果として、2007年には狩猟鳥となっています。また、樹上で集団で営巣する特徴があります。
次の2枚の写真は、三方五湖自然観察棟の望遠鏡を通して撮影したものです。焦点が合いにくくややぼやけた写真になっていますが、杭の上に留まっている様子が分かります。
杭に留まっているときのカワウは、次のどちらかです。
・翼をたたんで休息している
・風を浴びながら翼を広げ小刻みに震わせて乾かしている
(水に潜って魚を捕食するため翼の油分が少ない。そのため翼はあまり水をはじかずずぶ濡れになる。)
また、三方湖では、魚を捕食するためにカワウが潜る姿はまず見られません。三方湖は水深が浅くほとんど濁っています。カワウは河川まで飛んで行って新鮮な魚を捕食しているのです。カワウを眺めていると、その仕草や顔つきに見入ってしまいます。どことなく心惹かれるカワウです。
そんなカワウですが、飛び立つときには水面を脚で蹴って助走し、まるで飛行機が滑走路を飛び立つときのようです。やはり大型の部類に入る鳥なのです。
新型コロナウィルス感染症が世界規模で広がり、私たちの生活様式や働き方が大きな影響を受けています。コロナへの関心とともに、環境問題に関する関心も高まっています。
それは、おそらく人間がさまざまな行為や活動を積み重ねた結果が、命に関わる問題につながっているからではないでしょうか。SDGsに関し積極的行動を始める人も増えているようです。
さて、さとけん日記も工夫改善を意識しなければ、と思います。これまでうっかり気づかず見過ごしてきたものに今一度意識を振り向けてみます。
今回は「カルガモ」です。
野鳥図鑑を紐解けば詳しい説明がされているので、日々眺めてきた筆者の記憶箱から思い出せるものを取り出してみます。
・湖面にいるときは水に隠れて見えないが、足は鮮やかなオレンジ色。
・全体にこげ茶色だが、翼の中でも左右の脇の翼(翼鏡:よくきょう)は青色で美しい。
・留鳥(1年中見られる鳥)だが、エサや繁殖の関係からか多くは冬に南下してくる。
求愛期を経て春には北上する。
・求愛行動は一定のパターンがあるので、次第に分かってくる。
・真冬で北西季節風が強いときは、群れ全体が頭を風上に向け波間で揺れ続ける。
水中で足を動かして続け、寒さをものともしない。
・冬の陽だまりでは桟橋や岸辺の石に上り、首を縮め体をふくらませて暖をとる。
・観光地のカルガモと違い、誰も餌をやらないので人からは常に一定の距離を保つ。
・そっと近づいても写真のように一斉に飛び立ってしまう。
・産卵場所は水辺の草むらなどが多いようだが、まだお目にかかっていません。
・水草のような植物や小魚、昆虫を餌とする。
・田植え時には田んぼで餌をとる姿がよく見られる。
・田んぼは穂が伸びると姿を隠しやすく、雛を育てるには都合がよいようだ。
人間よりはずっと短い寿命(平均で5~10年程度)ですが、いつも見ていると可愛らしく、また健気に感じられてきます。多くの皆さんに三方の湖にカルガモを見に来ていただきたいと思います。
6月6日(日)に、今年度2回目の里山あそび教室「竹炭オブジェをつくろう!」を開催しました。嶺南地域の親子4組15名が参加してくれました。
講師は、研究所のふるさと研究員である福地伸二さん、久子さん、田中裕治さんが勤めてくださいました。
まず、参加者は、講師が準備したオブジェの見本をみてから、自分がオブジェにする竹材料の加工をはじめます。ドリルやのこぎり、やすりで思い思いの形にしていきます。ドリルを使うのが初めてのお子様もいましたが、講師の方の丁寧な指導のもと、安全に加工することができました。
加工した竹材料は、どんぐりや松ぼっくり、枝や葉っぱなどとともに空き缶に入れ、かまどの火であぶります。参加者の中には自宅で折り紙を使って毬や手裏剣を作って持参し、一緒に炭にしていく参加者もありました。
次は出来上がったオブジェを並べるベースの板の加工です。講師の田中さんが用意してくれた様々な木工加工道具が大活躍!ホールソーを使って杉の板に大きな穴をあけたり、トリマーで板のエッジを滑らかに加工していただきました。最後に塗料を塗って光沢を出して仕上げます。
さて、缶をあぶり続けること30分、少し冷やした後にいよいよ缶から炭を取り出します。どんな炭ができているかな?みんな楽しみに蓋を開けていきます。熱で元の形から変形したものや折り紙で作った作品が壊れてしまっているものもありましたが、みんなその変化を楽しんでいるようでした。
ホットボンドで炭とベースの板をくっつけて完成です。子ども達の自由な発想でオブジェをつくってもらおうという講師の方針で、見本とは違ういろいろなオブジェができていました。
最後に炭の効能や利用方法についてお尋ねされる参加者もあり、消臭や畑の土壌改善にも効果があることをお話させていただきました。
秋にも別のイベントを予定していますので、みなさん、またご参加くださいね。
雨の日が続き、ハス川の水量が増してきました。
三方湖のコイとフナが遡上を始めているとの情報があり、当研究所の石井研究員がハス川支流の高瀬川に産卵用のシュロを設置するというので同行しました。
シュロを設置する理由は、シュロに産卵させ、その卵からふ化した稚魚を水田で育てるためです。近隣の農家さんのご協力をいただいて、田植えを終えた田んぼでコイとフナの稚魚を育てます。田んぼの中では稚魚が育ちやすく、最終的には中干し時期に排水と共に三方湖に戻します。かつては遡上するコイやフナが田んぼまで遡上した後に産卵していましたが、圃場整備により直接田んぼまで遡上することはできません。そこで人為的に水田に稚魚を放したり、魚道を設置することで地域固有の稚魚を増やすことにしています。
コイやフナは水をたくさん蓄えた水田を目指し、三面張りの急流も勢いよく上っていきます。ところが今日はあまりにも水の流れが速く、途中で戻され、少し休憩してから再度チャレンジる姿が見受けられました。
また、田植えの準備が始まり、田んぼの代かきによる泥水が多く排出される場合があり、水路の合流地点では水の色の違いが明瞭にわかる場所がありました。
コイやフナの水田での育成事業や、代かき水による濁水排出の防止など、三方五湖自然再生協議会で取り組む事業はつくづく大切だと感じた1日でした。
午前中は少々雨もぱらつきましたが、前々日からの雪の影響もなく、午前、午後とも三方湖畔をゆったりと歩きながら野鳥を観察することができました。
観察できた多くは、マガモ、カルガモで、他にはカワウ、カイツブリ、オオバン、オナガガモ、あと、鳴き声だけでしたがハス川沿いのヨシ帯にコガモが潜んでいることがうかがえました。水鳥ではないですが、福井県の県鳥であるツグミが縄文ロマンパーク内を低く飛ぶ姿や、イソヒヨドリ、ジョウビタキを見たと報告した参加者もいました。
講師の野鳥の会の方の解説では、渡り鳥がペアとなり繁殖するためには越冬地である日本にいるときから相手を探し始める必要があるとのこと。今日の水鳥の様子を見ていると多くは既に相手が決まってきているようでした。
屋外の水鳥観察会は1時間程でしたが、家族でゆったりと自然の中で(里湖空間の中で)過ごせたのは家籠り時間の長くなった子ども達には良い想い出として残るのではないでしょうか。
自然観察棟に戻ってからは、研究所自慢の薪ストーブで暖をとりながらサツマイモを焼く体験をしていただきました。パチパチ燃える炎を見て過ごす時間もおつなものです。薪ストーブの魅力が少しでも伝わったかな?
(参加者が焼き芋を焼いています) (まきストーブのメーカーによる解説)
さて、今回は新型感染症拡大防止のため、各回あたりの参加組数を5組までと少な目に設定しました。多くの参加申し込みをいただきましたが、やむなくお断りさせていただいたグループもあり、申し訳なく思います。水鳥はイベント実施の時以外にもいますので、冬はいつでも自然観察棟に来てゆっくりとお過ごしください。