福井県里山里海湖研究所

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里山里海湖研究所の所員が、日々体験したこと、感じたことを綴っていくブログです。

  •  毎日暑い日が続いていますね。いかがお過ごしでしょうか。
     さて、少し前のお話になりますが、6月末頃に三方湖で体長約1mの大ウナギが、伝統漁法の筒漁で捕獲されました。
     漁師さんたちのお話では、このサイズのウナギは10年近く見ていないそうで、とても珍しい大きさです。しかし、ここまで大きくなると、骨も太く硬くなっているため食用には不向きだそうです。そのため現在は漁協の漁師さんから譲っていただき、7月12日(水)から自然観察棟の水槽で飼育しています。

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    水槽に貼ってある普通サイズのウナギ  よく見るとつぶらな瞳!
    の写真と尻尾比べ

     是非たくさんの方にご覧いただきたいのですが、まだ引っ越し先の水槽の環境に慣れておらず、筒の中で毎日じっとしています。ですので水槽を叩いたりしてウナギを驚かすことなく、しばらくは筒の中にいる様子を静かに見守ってください(=゚ω゚)ノ
  • その他
     
     観察棟ではツバメをはじめとする元気な鳥の鳴き声が毎日聞こえるようになりました。すっかり暖かい季節になりましたね。
     さて、GW期間中はたくさんの方にご来館いただき、誠にありがとうございました。
     木工体験コーナーも多数の方に利用していただき素敵な作品がたくさん出来上がりましたので、今回はその中からいくつか作品をご紹介させていただきます。

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    花びらを再現するアイディアが素晴らしい!     尻尾とお口がとても可愛らしい作品!


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    可愛らしい旅行の記念品を作って頂けました!  枝で作った角と真っ赤なお鼻がとても素晴らしい作品です!

     木工体験コーナーをご利用の際は、お気軽に職員にお声かけくださいwink 
     さて、これから11月頃まで、三方湖ではうなぎの筒漁が行われるシーズンです。
     自然観察棟では水槽でうなぎを3匹飼育中で、実際に使われる筒漁の道具等も展示しています。
     タイミングが合うと観察棟からうなぎの筒漁の様子を見ていただけるかもしれません。是非お立ち寄りください。



     
  •   先日、3月25日に若狭町観光船レイククルーズの船上にて、年縞博物館の北川学芸員が「世界標準のものさし」である水月湖の年縞を案内・解説する「春の水月湖クルーズ」が開催されました。

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     船着き場の桜もとてもきれいでした。

     今回の解説ツアーは年縞とはいったいどういうものなのかという説明から始まったので、この日初めて年縞を知った方にもよく分かる内容でした。そして、2006年に行われた年縞の掘削ポイントを巡ったり、水月湖年縞の形成にも深く関係している三方断層の活動が地形に与えた影響を見たりと、まさに百聞は一見に如かずという言葉の通り、実際に自分の目で現地の姿を見るという貴重な体験をしました。

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    年縞の採取方法を模型を使って解説する北川学芸員

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    この辺りから流れていた古気山川は断層活動で埋まってしまったそうです。

     またこのツアーの直前に北川学芸員はフィンランドの湖の年縞採取に参加されており、その時のお話も聞くことが出来ました。曰く、フィンランドの湖は冬になると湖面が全面凍結し、道具を持ったまま歩いて年縞のある地点まで行くことができるので、船や大掛かりな装置も必要なく、水月湖の年縞よりもかなりコストを抑えた採取ができるそうです。ただし、気温はー15℃とのことでした……。
     このような形式の解説ツアーは今回が二度目です。年縞解説と共に湖上から見る四季折々の湖の景色も堪能していただけますので、またこのツアーの企画を見かけた際には是非参加してみてください。
     
  • この時期にウグイスの鳴き声を聞くと春を実感しますね。
    みなさんは、どんな春の訪れを感じていますか。
     
    さて、私は先日、三方石観世音の第3展望台付近の車で行けるところまで行ってきました。
    景色はとても綺麗で、皆さんに知ってもらいたいと思ったので、さとけん日記を更新することにしました。
    夕方に行ったので逆光でしたが、スマホで写真を撮ってみると、まあまあいい感じに撮影できたのではないかと思います。
    よく見ると、年縞博物館や里山里海湖研究所も確認することができます。
    歩いて、もっと登っていくと三方五湖がさらに綺麗に見えると思います。レインボーラインとは別の角度から三方五湖を楽しめる、意外と知られていないスポットではないでしょうか。
    また、車で行ったと書きましたが、車で行くことはあまりお勧めしません(笑)
    なぜなら、道は舗装されていますが、軽自動車1台が通れる幅しかなく、ドロドロで水が流れており、途中、何ヵ所かすごい坂があり、落石や倒木もあるためです。里研に来て、いろいろな山道を車で走りましたが、一番辛いと感じた道でした。
     
    みなさんも興味があれば、ぜひ歩いて登ってみてください!

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  •  若狭町の梅の木が、たくさんの白い梅の花を咲かせ、見ごろの季節となりました。若狭町の梅栽培は県のホームページによると、江戸時代の終期に発祥し、明治時代に定着したそうです。また若狭町内には約7万本の梅の木が植えられているそうです。
     以下の写真は、梅の栽培が盛んな西田地区の成出園地と梅の里会館周辺で撮影したものです。3月5日に撮影した写真ですので、少し蕾混じりですがきれいな花をつけていました。湖と梅の花が一緒に見える春の景色はとても若狭町らしいと思います。

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    成出園地周辺            成出園地周辺


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    成出園地周辺            梅の里会館周辺

     
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    梅の里会館周辺

    また例年3月下旬~4月上旬は神子の山桜をはじめとした山桜が見ごろの時期となっています。機会がありましたら、五湖周辺の梅の花や山桜を見て春を感じていただけると嬉しいです。

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    神子の山桜
     
  • 里研近くの水田(若狭町田名)でハクチョウをみることができると教えてもらい、早速、見に行ってきました。
    実際に行ってみると、50羽ほどのコハクチョウをみることができました。思っていたよりも多くのコハクチョウがいて驚きました。
    車通りの少ない静かな場所なので、ゆっくりと観察することができます。また、車で通ったのですが、逃げることなく、道路を横断したり、水田の中のエサを探したりしていました。窓を開けると鳴き声や羽ばたく音も聞くことができました。
                 


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  •  12月から自然観察棟では薪ストーブが稼働しております。
     冷え込みが厳しいこの頃、ご来館いただいた方にも「暖かい」と何度かご感想をいただき好評です。こちらのストーブでは、里山の保全で行う間伐や雑木の伐採で出た木や枝などの廃材を暖を取るための薪として活用しています。
     そして薪を燃やして排出される二酸化炭素ですが、これは朽ちた植物が自然の中で分解される時に発生する二酸化炭素量とほぼ同じです。それゆえ薪の燃焼による二酸化炭素が里山の草木の光合成に使われるとすると、それにより樹木が成長し、それを再び薪として利用するという循環が生まれるので、結果的に二酸化炭素の排出量が少なくなっています。加えてこの薪ストーブは灯油等を使用しないため、限りある資源の節約にもつながるということもあり、自然観察棟では毎年薪ストーブを利用しております。
     また、今年から白樺の樹皮を着火剤として利用しています。白樺の樹皮は油分を多く含んでおり、天然の着火剤として昔から使われていて、キャンプサイトや漫画などでも紹介されています。

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     さらに、薪ストーブの火がゆらゆらと燃える様子は、そのゆらぐ動きによりリラックス効果があると言われています。熱により体が温まるのはもちろんですが、このゆらぎによるリラックス効果で心も温まるのは、薪ストーブならではのものではないでしょうか。
     里山里海湖研究所のYoutubeサイトにて、実際に薪ストーブが稼働している動画が公開されていますので、是非こちらでご覧ください。
     
     そしてこの季節は、マガモをはじめ、三方五湖に渡ってきたたくさんの野鳥をご覧頂けます。オジロワシももう五湖周辺にやって来ているそうなので、運が良ければ見られるかもしれません。風情ある冬景色もおすすめです。
     自然観察棟にて薪ストーブや野鳥、外の景色を眺めることで、日々の疲れを少しでも癒していただけると嬉しいです。

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  • 12月21日(水)に宮本研究員が毎月実施している三方五湖の水質調査に同伴しました。毎月欠かさず、水温や塩分、水中の酸素濃度等を久々子湖・水月湖・菅湖・三方湖で測定します。冬の調査は、湖上ということもあり寒さが極まっております。三方五湖は日本海とつながっているという特徴があり、水は塩分を含む汽水であるほか、日本海の海面上昇や温暖化といった気候変動に影響を受けると思われます。宮本研究員は、そういった近年の海面上昇や温暖化に加えて、自然に任せたものではないコンクリート護岸などの歴史的な人為改変が、水環境と湖底に住む生き物に与えた影響を統計的に評価しようとしています。歴史的な人間活動を調査し、データベース化することで、次世代の研究にも活かせる過去・現在・未来をつなげるような長期的な目線での研究です。
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    (水質調査)
     
    調査時に興味深い話をいくつか聞けましたので、紹介します。
    1つ目は浦見川についてです。
    水月湖と久々子湖をつなげる水路があります。それは、約350年前に作られた人工的な水路(浦見川)です。現代のような綺麗に整備された人工的な水路ではなく、今にも崩れてきそうな迫力のある岩肌の間を通る川のようでした。この水路が海とつながっている久々子湖と水月湖をつなぎ、水月湖を汽水にさせたのです。実際に通った感想ですが、迫力もあり、歴史を感じられて非常に良い経験でした。
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    (浦見川)
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    (浦見川岩肌)
    2つ目は、汽水湖の特徴と年縞についてです。
    水月湖等の深い湖に関して、水温に注視していると、ある深さで急激に変わっていました。また、塩分に関しても急激に変わることが分かりました。徐々に変わるのではなく、層のように分かれるのだと知りました。それは、高比重な塩水層の上に低比重な淡水層が乗った二層構造が壊されにくい閉鎖的な汽水域の特徴だそうです。
    三方五湖は汽水という特徴があるため、琵琶湖(淡水)のように水温による全層循環(深いところより水面付近の水が冷えることで冷たい水が下に沈み酸素が供給される現象)が起きるということはあまり考えられません。水の温度差で生じる比重差よりも塩分の違いで生じる比重差のほうが大きいためだそうです。したがって上下の層が混ざることがないため、下層部分は十分に酸素が供給されず、酸素を必要とする生き物がすめなくなります。こうして下層が荒らされず、きれいに黄砂や花粉などが堆積していったものが年縞と呼ばれるものです。1つ目の話にもあったように汽水になったのは最近なのではないかと思い、長い間汽水だったのか聞いたところ、平安~江戸時代までは淡水湖だったそうです。では、なぜそれなのに7万年分も年縞が連続しているのでしょうか。それは地形等の様々な条件が重なって奇跡的に積もったものであり、非常に深い世界でありました。年縞博物館の案内を受けて、改めて考えてみたいものです。
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    (水質調査)
  •  
     今年も12月3日から、三方湖の伝統漁法たたき網漁が始まりました。
    ご存じの方もおられると思いますが、たたき網漁は、江戸時代から続く400年以上の歴史がある漁法で、水温が下がり動きの鈍くなったコイやフナを、湖面を竹の竿で叩くことで驚かせ、刺し網に追い込んで捕るという漁法です。
     冬のコイやフナは脂が乗って美味しく、また三方湖には海水の流入によりミネラルが豊富な水となっており、泥臭さがなく刺身にして食されるくらいの美味を味わえる魚となっています。
     先日はたたき網漁の体験イベントが開催され、伝統漁法を実際に体験する機会も設けられていました。参加された方も楽しかったと言っておられました。今度機会がありましたら参加してみてください。
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     そんなたたき網漁が始まった頃から、ミサゴがほぼ連日三方湖に現れています。
    今年は夏に一度目にして以降は、湖面に姿を現すことはなかったのですが、最近では、木の杭に長く止まっていたり、捕らえた魚を食べたりする姿を見ることができるようになりました。
     この季節になって三方湖にやって来ることが増えたということは、もしかすると、ミサゴも三方湖の魚の一番美味しい時期を知っているのかもしれませんね。

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                                  捕まえた魚を食べるミサゴ

     観察棟にお越しの際には、たたき網漁やミサゴについて紹介させていただきます!
     マガモをはじめとする水鳥も数が増え、冬らしい三方湖の景色も楽しめますので、是非お越しください。

  • 秋も深まり、最近はめっきり涼しくなりました。
    皆様いかがお過ごしでしょうか?

    縄文ロマンパークの森の中に足を運ぶとドングリがあちこちに落ちています。
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    木になっているドングリ      地面に落ちたドングリ

    また縄文博物館と年縞博物館の駐車場沿いに植えられているカツラの木からは今年もキャラメルのような甘くていい匂いがしています。
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    カツラの木のストリート      ハート型のカツラの木の葉っぱ

    いつの間にか夏っぽさがなくなり、もう秋になっていたのだなと思う今日この頃です。
    至るところにススキやセイタカアワダチソウもたくさん生えています。

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    セイタカアワダチソウ

    そして現在観察棟では、ススキを使って相談員が作成したススキのフクロウがいます。
    入口のカウンターや工作コーナーで皆さんのお出迎えをしていますので、お時間がありましたら見にいらしてください。

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    ススキのフクロウ

    湖上でも渡り鳥としてホシハジロやキンクロハジロが増え、少しずつ賑やかな湖になっています。
    これからよりたくさんの渡り鳥が訪れると思いますので、若狭に来られる際には是非自然観察棟にもお立ち寄りください。
     


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