福井県立若狭歴史博物館で開催中の企画展「ちょっとむかしのくらし展~漁業編~」を見学してきました。
この企画展は、研究所の樋口研究員が展示協力をしたもので、若狭地域のむかしのくらしの道具を展示し、ちょっとむかしのくらしについて紹介しています。
三方五湖は塩分濃度や水深などに差があり、それぞれに対応した様々な漁法があります。
今回の企画展では、それに使われていた漁具も多く紹介されていました。
筒漁等に代表される三方五湖の伝統漁法は、魚の出入りが自由な漁法で、いつでも捕獲できるとは限らないそうです。
しかし、この出入り自由の漁法は、乱獲を防ぎ生態系を守るうえに魚も傷つけない漁法であり、環境に優しく持続可能な漁法です。
また、長年培われた漁師さんの知恵によって身近な材料で作られている漁具は、規格化された工業製品に見なれてしまった私にとっては原始的でありながらもとても画期的でした。
「ちょっとむかしのくらし展~漁業編」は2021年12月18日(土)~2022年3月13日(日)まで、開催しておりますので、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
12月1日が悪天候のため、晴れ間が見える2日の午後から「たたき網漁」が始まりました。
「たたき網漁」は、冬場、湖の水温が下がり動きが少なくなったコイやフナなどを、水面を竹竿で叩いて驚かせ、仕掛けた刺し網に追い込んで捕らえる伝統漁法です。
今年はまだ湖水の温度が高くて魚が活発に動くので、船外機の音で逃げてしまい、初日の今日はあまり多くは捕れなかったようでした。
陸に上がって、捕れた40cmほどのフナを、漁師さんが手早く刺身にしてくださいました。
一口味見をさせていただきましたが、泥臭さもなく、さっぱりした味でおいしくいただきました。
ところで三方五湖自然観察棟にある水槽では、三方湖に生息するコイやフナを展示しています。この水槽でも最近、水温が下がった影響でコイとフナが仲良く一か所に集まり、じっとしている様子がうかがえます。なるほど、湖の中でこの状態でいるところをたたいて驚かされているんですね。
そんな生き物たちや漁法について解説させていただきますので、ぜひ、自然観察棟にお越しください。これからは水鳥もたくさんやってきますよ。
スタッフ記憶箱シリーズ⑤ オオバンです。
オオバンはクイナ科に分類されますが、クイナ科の中では大きく太っている鳥です。体も翼も黒く、額からくちばしまで白いのが特徴です。川や湖の上を首を前後に動かしながら進んでいく姿に、ほのぼのとしたものを感じます。
他の水鳥と同じように群れを作りますが、単独行動でえさとりもします。水に潜って水草や昆虫をとることができます。また、写真のように岸に上がって水際のコケをくちばしでこすり取って食べたりもします。
繁殖地は北日本、北東アジアからシベリアまでと広いですが、東日本以西では周年生息している場所も少なくありません。
ところで、オオバンの趾(あしゆび)には特徴があります。それぞれの趾から葉のように膜が広がっているのです。カモなどの趾に見られる水かきは、指と指の付け根に膜が張っています。オオバンは指の各関節の横から膜が広がっているのです。オオバンやカイツブリの仲間に特徴的で弁足と呼ばれます。
師走に入りました。渡り鳥も少しずつ数が増えてきています。
さて、12月1日に、三方五湖自然観察棟へカメラ取材が入りました。ご存じの方も多いと思いますが、あのFBC「ふれあい若狭」の取材です。
ちょうど朝からマガモの群れが飛来していて湖面は久しぶりの大賑わいです。カモたちもテレビに出たがっているのかな・・・
リポーターさんと撮影スタッフの皆さんもカモを見て和んでくださいました。マガモ、カルガモ、オオバン、カンムリカイツブリなどを見つけて歓声をあげておられました。どんどん熱中していき、まだ飛来数の少ないホシハジロやオナガガモも見つけて感激してくださいました。
可愛いカモを見ていると時のたつのを忘れがちになります。今回も撮影終了後もずっと水鳥たちを見ておられました。
放映は来年1月9日の予定だそうです。
新採用職員の研究事務員 石田です。
11月25日、石井研究員とともに、三方五湖自然再生協議会環境に優しい農法部会の活動として、田んぼの土壌調査を行いました。
調査の目的は、再生協議会の部会で、環境に優しい農法に認定した田んぼにおいてその土壌断面を観測調査し、根の張りやすさや保水力、透水性、酸素の通りやすさ等の評価を行うことです。
地下の様子は目に見えませんが、一般的に田んぼなどの人間活動に影響を受けた土壌や森林など長年にわたって植生の影響を受けた土壌の断面には、いくつかの層が形成されるとのことです。
調査方法は、まず調査対象の田んぼに穴を掘り、断面が観測できるようにします。
本来は深さ1mまで掘るとのことですが、簡易に行うため作土を含めて50cm程度まで掘り、断面に現れた層の厚さや色、土の硬さ、土性等を判別していきました。色や土性の判別は経験が必要だそうで、今回の調査は、岩本昭夫氏の協力をいただきました。
(色の判別) (硬度の調査)
(土性等の調査)
全部で4か所の田んぼの土壌調査を行い、今後、詳細に結果を評価していく予定です。
様々な環境で耕作された田んぼの土壌の現状を把握し、土壌環境の保全を通して「環境に優しい農法」の普及をめざしたいと思います。