御挨拶
おかげさまで、2013年10月開設の福井県里山里海湖研究所も、本年10月には10周年を迎えることができました。県民の皆さまのご理解ご協力とご参加に心より感謝申し上げます。
本研究所は1992年地球サミット以来の世界的課題の「生物多様性」への全県的取組拠点として設置されましたが、名古屋市開催の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で標榜されたSATOYAMAinitiativeにもとづき福井県土の里山里海里湖里川などの保全再生活用のための研究と普及、県民参画に取り組んできました。さらには、ダァイバーシティの世紀の持続的発展のためには、多面的多様性の重要性を踏まえ、「生物多様性」「生活多様性」「経済多様性」「景観多様性」など4つの多様性を育むことで福井県土と地域社会の元気を目標に「研究」「教育・普及」「実践」を3つの柱として活動してまいりました。
「研究」においては、環境考古、保全生態、森里川海連環、里地里山文化を視野に入れ、三方五湖、北潟湖はじめ福井県土の地域課題の解決に向けた研究を行い、研究成果、さらには里山ビジネスが里山里海湖資源を活用した経済活動に結びつけるなど、地域活性化に寄与してまいりました。「教育・普及」においては、福井ふるさと学びの森・海湖活動団体を増強し、また、里山里海湖学校教育プログラムなど環境教育とふるさと教育を推め、里山里海湖の恵みに触れる機会を提供してきました。「実践」活動においては、ふるさと研究員の派遣、里山整備のための資機材貸出しなど、里山里海湖を保全再生する団体活動等を支援、活動意欲の向上に努めてきました。
以上の研究、教育・普及、実践活動等の取組成果を踏まえ、活動の担い手確保、育成、里の恵みを利用した生業の確立、鳥獣の生息域拡大による鳥獣被害の深刻化など新たな課題にも対応し、県民のご意見を反映させながら、里山里海湖の保全、再生、活用を県民や企業など多様な主体との協働を、今後とも進めてまいります。
当研究所は、science for society(社会のための科学)、さらにはscience for policy(施策と行動のための科学)を視野に入れ、「福井県の持続可能性」を高める方向で今後とも研究所の運営に当たってまいります。これからも県民の皆さま、NPO、企業団体、行政や教育機関など多様な主体のご参加の下、研究所活動を展開してまいりますので、皆さまの「ご理解」「ご参加」「ご協働」「ご支援」をお願いいたします。
2023年6月 進士五十八
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