福井県里山里海湖研究所

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宮本 康 の論文
研究活動の紹介(森里海湖連環)

森里海湖連環の視点から汽水域の水生動物を保全する
 

森里海湖連環のバロメータ、ヤマトシジミを守る 

◆汽水域は森里海湖の結びつきを反映する鏡

  森に涵養された水が川を下り、海水と出会う場所、それが汽水域です。汽水域は、淡水と海水が作り出す多様な塩分環境により、淡水種と海水種の両方からなる、様々な生き物のすみかとなります。また、河川下流域に位置する汽水域では、森や里から流下するミネラルや栄養塩が高い生物生産を支えます。こうした森・里・海湖の連環が育む豊かな汽水域は、古くより、ヤマトシジミをはじめとする様々な食材を里に提供してきました。いわば、汽水域は森里海湖の結びつきを反映する「鏡」です。
 


図1 森里海湖連環.jpg

図. 1 三方五湖: 森・里・海湖の繋がりがコンパクトに収められた汽水域。
 

図2 塩分変動.jpg

図. 2 水月湖と久々子湖の水辺(水深~50cm)の塩分変動。下流の久々子湖は夏、
外海(潮汐)の影響が
顕著に現れる。2016年8~9月の観測結果。

 

◆ヤマトシジミを守る

  地球上の大部分の生き物が淡水、もしくは海水の環境に適応している中、ヤマトシジミは汽水でしか子孫を残せません。汽水域に特化した本種は、いわば「森里海湖連環のバロメータ」です。縄文時代から日本人に愛され続け、かつては多くの汽水域で採れたヤマトシジミですが、里の近代化による生息環境の悪化が減産を招きました。さらに、近年の気候変動が本種の生存の新たな脅威になっている可能性があります。この研究では、21世紀の汽水域でシジミが棲みやすい環境を守り、かつての水辺のにぎわいを少しでも取り戻すことを目標としています。そこで、この研究では、シジミの漁獲が激減した三方五湖を主なフィールドとして、シジミ資源を将来に残すための研究を行います。
 

 
図3 シジミ野外実験.png

図. 3 ヤマトシジミの死亡要因を探る野外実験。主な死亡要因として
夏季の高塩分と冬季の鳥類による食害に注目。


 

豊かな里海湖のバロメータ、ベントス群集を調べる

  汽水域の水辺の湖底に棲んでいるのはヤマトシジミだけではありません。他の二枚貝や多毛類(ゴカイ類)、甲殻類(エビ・カニ類)といったベントスも生息しています。これらのベントスは、ウナギやコイといった三方五湖の有用魚種の重要な餌資源であるばかりでなく、水辺環境の指標でもあります。地味な生き物たちですが、豊かな里海湖のバロメータなのです。しかし、福井県ではベントス相の実態がほとんど分かっていません。この研究ではベントス相の調査も併せて実施します。
 


図4 久々子湖のベントス.jpg

図.4 三方五湖に生息するベントスの一部。金谷さん(国立環境研究所)、多留さん
(東邦大学)、小嶋さん・高橋さん(当所)達と共同調査中。

 


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