福井県里山里海湖研究所

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2021年4月8日のコラム

  •  この冊子はCDジャケットサイズの16ページという小さなものです。「地域の名刺」として、その魅力の一端を表現できるものを目指して編集しました。
     始まりは2020年2月14日、勝山市北谷町谷地区の「お面さん祭り」の準備期間でした。この祭りには、毎年大阪府立大学から祭りの準備に携わる学生ボランティアが訪れます。谷区では学生たちに雪国での暮らしや食文化などを実際に体験してもらいながら伝え、学生たちも手伝いをしながら都市部では経験できない時間を過ごします。この交流を楽しみに何年も通う学生もいるそうです。

     そこで、2020年のお面さん祭りに来てくれた学生に、谷の魅力は何か聞いてみたいと考えました。ただ「魅力は何か」と聞いても似たような感想しか出ないと思い、AtoZという手法で「谷にあるもの」を探しだしてもらうことにしました。AtoZは、あるテーマについてAからZまでの頭文字を使ったキーワードを使って解説するというものです。学生12名から出た言葉は以下になります。
    AtoZ3-1_01.png
    AtoZ3-1_02.png
     目立つのは元気で笑顔で温かく迎え入れてくれた谷地区の人たちの印象や、交流を表す言葉が多く出ています。他には谷で昔から食べられていた伝統料理(保存食)や、お祭りなどの文化、そして自然についての言葉が並びます。
     AtoZのまとめは、谷地区の方と学生でグループを組んで話し合い、最後は各グループからそれぞれ発表していただきました。そこから出てきた言葉は、「谷」という山深い地域での生活や歴史、現在の活動を表すものでした。冊子に掲載出来た言葉は26しかありません。ぜひ実際に地区を訪れて、ここに載せられなかった「谷にあるもの」を見つけていただければと思います。
     
     県内の伝統文化の調査研究をしていますが、地域に伝承されてきた暮らしの様子や、生活の知恵などを語れる方が少なくなっているように思います。また生活の不便な集落は住民が減り集落自体が無くなる事態も出てきています。「集落を雪崩から守り、水をためる働きがあるブナ林」「雪道を歩きやすくする“かんじき”」「雪を利用して重い木材を運ぶ“てぞり”」など、雪国で伝承されてきた知恵は、このまま集落とともに消えてしまうのでしょうか。文化とは人が自然から恵みを得るために伝承され研鑽されてきた知恵と技術の結晶です。たとえ無住化したとしても、また復興できるように、また集って語り合えるように、伝承を残すことはとても重要なことです。その第一歩として、このような取り組みにも興味を持っていただければと思います。
     
     みなさまの地域におかれましても、伝統文化や記録に残したい伝承などがありましたら、ご紹介くださいますと可能な範囲で支援していきたいと思います。

    こちらから全ページをご覧になれます→北谷町谷の26のこと[AtoZ]Web閲覧用(3.9MB)
    ※印刷用データが必要な場合は、研究所にお問い合わせください。

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