福井県里山里海湖研究所

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これまでの「ふくいまる里フォーラム」報告

これまでの「ふくいまる里フォーラム」報告

過去のフォーラムの議論とアンケートでの意見です。
※各フォーラムの話題提供と活動報告の内容一覧はこちら

第二回 2017 ふくいまる里フォーラム
平成29年 12月 9日(土)開催
 ふくいまる里フォーラムポスター(0.4 Mb)
 『プログラム&発表要旨集』2.7 MB

 『フォーラム概要報告』0.6 MB

(1)議論(質疑応答を含む)
・高橋一秋先生(長野大学)
■高橋先生の所属する環境ツーリズム学部は、どのような考えのもとに、地域の取り組みに参画しているのか?
 [回答]
 ・本学部は、信州の豊かな自然を活かしながら観光を通じて持続可能な地域づくりを行う社会を目指すものとして、2007年に設立された。
■クマ棚は、クマが実を食べるときに作られると聞いていたが、クマは林冠ギャップを作るためにクマ棚を作っているのか?
 [回答]
 ・もちろん、クマはどんぐりの実を食べるときにクマ棚を作っているのであって、林冠ギャップを作るためにクマ棚を作っている訳ではない。クマ棚ができる結果として、林冠ギャップが形成され林内が明るくなり、そこに生育している植物の開花・結実に影響する。
■クマは、クマ棚の上にすわって、実を食べているのではないか?
 [回答]
 ・一般的に木の上の方は不安定であるため、クマはクマ棚を作り、その上で安定した状態でエサを食べていると言われている。しかし、私はまだ観察したことがない。
■林業の再生は、どのようにすれば良いか?
 [回答]
 ・難しい問題である。たとえば、長野大学の教育の一環として行っている取り組の中で、学生が木を利用する量は限られている。また、木の利用のためには、専門的な知識や技術も必要である。一方、長野県の場合は、新しい木材の利用方法として、これまで材がねじれて狂いやすかったり、松ヤニがたくさんでるため使い道に困っていたカラマツが、合板や集成材として利用することが技術的に可能になったため、現在森林認証を取得して東京オリンピック用に販売している。また、そのような木材利用のために、補助金や森林税が活用されている。課題は、担い手が不足している点である。
■木の利用に専門的な知識や技術が必要であるとのことだが、高橋先生が取り組む環境教育プログラムの中で、木を利用する技術の習得は含まれているのか?
 [回答]
 ・これまでのプログラムには、木を利用する技術の習得は含まれていなかった。しかし担当できる教員が加わったので、森林組合の方の協力もいただきながら、徐々に充実させている。その1つとして、長野大学がある長野県上田市では、今松くい虫の被害がとても深刻でマツタケを採集する森林が影響を受けており、マツタケ林の再生に向けた対策を検討課題に加えている。
■クマが、標高の高い場所(森林限界の高山帯)に種子を運搬している(種子散布している)というのは、クマのどのような行動に基づいているのか?
 [回答]
 ・クマは森林の中を移動して生活している。その中で、高山帯に移動することもある。(高橋先生の調査地においては)クマは、夏にガンコウランの果実やアリ、ハチなどのエサを求めて、高山帯に移動しているようである。そのとき排泄された糞の中に、標高の低い場所で食べた果実の種子が含まれていて、発芽する可能性がある。地球が温暖化すると、植物の分布が標高の高い方へ変化する可能性があるが、クマによる種子散布は、高い標高への種子散布の方法として機能する可能性がある。現時点では、低い標高から高山帯など高い標高に種子が運ばれても、発芽しにくいかまたは発芽しても定着しにくい気象条件といえる。
■林冠ギャップの形成は、森林にとって望ましいことか?
 [回答]
 ・森林において樹木が世代交代するために種子からの更新が必要であり、林冠ギャップはそのような場所(種子が発芽し、定着する場所)として機能していることが、これまでの研究から明らかにされている。
■林冠ギャップが形成される仕組みの1つとして、クマ棚の形成を介したものがあるということか?他にも林冠ギャップが形成される仕組みはあって、クマ棚の形成はその中の1つであるということか?また、動物の種子散布という点では、クマ以外の動物も種子を運んでいるという理解で良いか?
 [回答]
 ・その通りである。
 
・多田憲市氏(NPO法人農と地域のふれあいネットワーク)
■気候療法の取り組みでは、健康に良いという結果がでたのか?
 [回答]
 ・良いという結果が出ることを期待している。そのための調査方法としては、血液や血圧の調査がある。精神的な効果(気持ちへの影響)については、アンケート調査で評価できると聞いた。
 ・このような取り組みで大事なことは、参加者になぜそれぞれの実施場所でこのような取り組みをするのかについて説明することである。たとえば、北潟地域で行ったときには、北潟地域の自然環境が豊かであり、この地域に古くから療養施設があったことを説明したら理解が得られた。
 [会場からの意見・感想]
 ・自然に触れ合うと、気持ちが良くなったり健康になるということが科学的にも証明されると付加価値がでるので、この活動にも深みがでるのではないかと思う。
■福井の詩人や作家に馴染みのある場所を訪れるという活動では、実際に作品と現地との関係性も見ながら訪問するのか?
 [回答]
 ・そうである。
■農と地域のふれあいネットワークは色々な場所で活動されているが、それぞれのきっかけは何か?
 [回答]
 ・地元からの要望があって、一緒に活動するようになった。そのため、活動の主役は地元の人である。
 ・また、自分たちできっかけを作ることもある。
■地域の魅力を探して、それをイベントなどの取り組みにつなげているのか?
 [回答]
 ・そうである。
■その他
 [補足説明]
 ・活動の中で色んな関係ができ、新たな交流が生まれることもあった。
 
・恒本明勇氏(水辺と生き物を守る農家と市民の会)
■コウノトリは、渡り鳥か?年中日本にいる鳥(留鳥)か?
 [回答]
 ・渡り鳥だが、定住する個体もいる。昔はたくさんいて、ツルとコウノトリが見分けがつかないくらい生息していた。そして、人為的な影響によって日本のコウノトリは絶滅した。具体的には、銃で撃たれたり、営巣場所のアカマツが伐採されたり、水銀が含まれる農薬が散布された場所でエサを食べたコウノトリがそのエサを通して水銀を摂取したことなどが原因である。その後、ロシアから6羽のコウノトリが導入され増殖が図られた。導入された個体は外来種に当たらないかと疑問をもたれることがあるが、コウノトリはアジアやロシアなどを生息域とするため、外来種に当たらない。そして、野生復帰の取り組みによって日本の生息環境が改善されれば、大陸にいるコウノトリが日本に再び飛来するかもしれない。(野村氏)
■各地に飛来するコウノトリは、兵庫県豊岡市で放鳥されたものか?それとも、海外から飛来した個体もいるのか?
 [回答]
 ・海外からの飛来個体も含まれる。一方、豊岡市では、飼育個体が100羽を越えたら放鳥するという考えのもと、放鳥が続けられている。その結果、各地に飛来する個体も増加している。なお、現在、メスの割合が多い状態となっているが、そのうちオスの割合も増えてくるだろうと言われている。(野村氏)
■農薬や化学肥料を使わない農法を広めるときに、農家の理解を得るためにやったことで、うまく行ったことや苦労されたことは何か?
 [回答]
 ・はじめは、『こんな雑草がたくさん生えてくるような田んぼづくりで大丈夫か』という声がたくさんあったが、昔に白山・坂口地区に飛来したくちばしの折れたコウノトリを実際に見た経験から熱い想いで取り組む方がいたことと、地元の農協がストーリー性のあるお米だからと高く買ってくれることになったことから、農法が広まった。今は、全部のお米を農協で買っていただいていて、田んぼの面積は17 ha、生産者は24名ほどである。地元の農協がメインとして取り扱い販売してくれていて、農協が積極的に買い上げてくれることで、農業者は前向きに取り組んでいる。
■近くに宿泊施設はないか?宿泊施設があれば、都会から人がやってくるのではないか?都会の企業に勤める人で、心の悩みをもっている人がいる。また、コウノトリのような動物がいれば心が癒される。
 [回答]
 ・そのような宿泊施設はない。しかし、たくさんの方がコウノトリを見に来られており、グリーンツーリズムのために古民家を改造して宿泊できるようにしようという取り組みが検討されている。
■三方五湖自然再生協議会でも環境保全型農法を広めようと活動しているが、簡単ではない。アドバイスがあればお願いしたい。
 [回答]
 ・『コウノトリを呼び戻す農法』による稲作がはじまってから8年目になると思うが、当初は面積が増加し、また特別栽培米の栽培面積も多かったが、残念なことに、最近少し減少しつつある。もっと農業者に理解を得るための活動をする必要があると考えている。JA武生が良いお米は高く買い取るという方針をしてくれているので、インセンティブはある。
[さらに質問]
・少し減少しつつある理由は、農作業の労力が大変だからか?
[回答]
 ・その通りである。
■コウノトリは、エサが多ければどこにでも飛来するのか?
 [回答]
 ・エサが多いことが重要であるが、それ以外の要因も影響する。たとえば、町中の田んぼでは警戒心から降りてこないだろう。(福井県里山里海湖研究所・石井)
 
・野村みゆき氏(越前市エコビレッジ交流センター)
■アメリカザリガニは、自分達の地域でも問題になっている。卵を見たことがないがどこにあるのか?産卵や孵化を抑える方法はないか?
 [回答]
 ・卵は、メスがお腹に大事に抱えている。産卵や孵化を抑える方法としては、産卵前にその個体を捕獲するしかないのではないかと考えている。
■アメリカザリガニの除去活動の中で、ビオトープに石灰を撒いていたのはなぜか?
 [回答]
 ・まず守る生きものを採集して別の場所に避難させたあとに、石灰を撒いてその場所をリセットした。
■アメリカザリガニが爆発的に増えたのは、色々な理由があると思うが、自然環境が良くなったことも原因か?
 [回答]
 ・田んぼに水を積極的に張るようにしたり、ビオトープを増やした結果、アメリカザリガニにとっても住みやすい環境になったのかもしれない。
■アメリカザリガニの対策のために、重点エリアを設けることも有用かもしれない。
 [回答]
 ・里山警備隊の活動範囲(アメリカザリガニの除去活動を行う範囲)は、エコビレッジ交流センターを中心としてビオトープがあるエリアとしている。
■アメリカザリガニは、アメリカにいるのか?天敵はいないのか?
 [回答]
 ・アメリカザリガニは、100年くらい前に、アメリカから日本に20匹もってきたそうである。日本では、コウノトリやサギの仲間などが、アメリカザリガニを食べている。天敵はいても、天敵に捕食される速さ以上の速さで増加している。
■アメリカザリガニを日本にもってきた理由は?
 [回答]
 ・ウシガエルを食用に育てるための餌とするため、日本に持ち込まれた。
■里山警備隊の取り組みの中で、子ども達がアメリカザリガニを捕獲したら『ザリガニ捕獲表』にシールを貼って成果が分かるようにしたり、お菓子をプレゼントするような企画力がすごいと思った。さらに、子ども達だけでなく大人も参加する取り組みになっていることがすごいと思った。子ども達と大人が参加する取り組みの秘訣を教えてほしい。
 [回答]
 ・参加者にお菓子の詰め合わせをプレゼントしたことと、もれなく参加証を渡したことが一因かもしれない。また、小学校の先生方に協力をお願いしたところ積極的に協力してくださり、ちらしを配布することもできた。
 [さらに質問]
・野村さんは、子ども達と直接話しをして丁寧に子ども達の質問に答えたりしているので、子ども達が野村さんと話しをしたいというのも、子ども達が里山警備隊に参加する動機の1つになったのではないか?
 [回答]
 ・子ども達だけでなくそのご両親とも話しをする機会がある。その中には、本人を幼稚園のころから知っているお父さんがいたり、『地域が子どもを育ててくれるので、安心して子どもが産めます』と話し、笑顔でエコビレッジ交流センターに通うお母さんがいる。
 [会場からの意見・感想]
 ・今一緒に活動している子ども達が大人になったとき、さらに、子どもも大人も参加する取り組みに発展できるのかもしれないと思った。そのために、自分も長い目で活動を続けて行きたいと思った。
 ・大人が参加するのは、小さいころに田んぼの生きものと触れ合って遊んだ経験があり、昔を懐かしんでいる気持ちもあるのではないか。
■子ども達がアメリカザリガニの捕獲活動を続けるうちに、子ども達に何か変化は生じていないか?たとえば、アメリカザリガニの捕獲技術があがって、それが喜びにつながるようなことはあったのではないか。環境教育の視点からは、アメリカザリガニ以外の生きものにも関心をもつようになったりする変化は見られなかったか?
 [回答]
 ・もともと観察会は続けていたため、子ども達にとって、ドジョウなどの生きものがすでに身近な存在であった。
■白山と坂口との地域としての関係性はどうか?
 [回答]
 ・環境保全型農法をはじめとして田んぼの生きものを増やすための取り組みが始まってから、以前より関係性が良くなっているように感じる。共通した取り組みが、気持ちの上でも変化をもたらすきっかけになっているのではないか。(恒本氏)
 ・白山と坂口は、以前からも人の行き来があった。
 [会場からの意見・感想]
 ・地域によっては、かつては、上流側と下流側との位置関係や商売の関係性などにより良好な関係が築けなかった地域同士もある。しかし、今の時代では、集落をまたいだ一つのイベント(たとえば、お祭り)があると、昔ながらの人間関係を超えていけるようなまとまりができる可能性があると思われる。
■その他
 [補足説明]
 ・子ども達は天気が良い日になると外に出て、アメリカザリガニの捕獲活動をしている。天気が良いことも重要である。
 ・捕獲したアメリカザリガニは、今は土に還しているが、来年は食に挑戦してみたいと思っている。海外では、ザリガニの食文化もある。
 
・萩原茂男氏(NPO法人森林楽校・森んこ)
■茅葺の屋根は、お隣の京都府美山町で有名だが、美山町との連携の可能性はないのか?
 [回答]
 ・古民家の茅葺の屋根の再生を担当してくれたのが美山町の職人であり、多少だが交流している。その職人も、今、自宅で”体験”活動を行っていると思う。
 ・美山町は、観光として茅葺の屋根の保全を行っており、老左近の古民家再生の取り組みの考え方とは多少異なっている。また、美山町の観光客は外国人が多いようである。
■美山町は昔と今でかなり変っている。古民家の再生を行っている老左近の風景をかつての美山町の風景として売り出し、連携できないか?
 [回答]
 ・きっかけがあれば、一緒にやっていきたいと思う。
■今ある古民家を借りることはできないのか?
 [回答]
 ・現在、3人の所有者と相談しているが、基本的には、何かの役に立つのなら使って良いという考えをされている。しかし、所有者の考え方は三者三様である。さらに、金銭的なやり取りが発生する場合は、慎重に考えることが必要となる。とても丁寧な対応が必要であり、画一的な対応はできない。丁寧に話しをすることが重要である。
■地域おこしにおいて、協力しようとするまたは移住しようとする”よそ者”が地域に入って来ることを望まない住民がいる場合がある。そのような場合、町役場なりが、地域に入って来るよそ者の信頼を保証し、必要に応じてよそ者と地元住民との橋渡しをする役割を担うことが重要ではないか?
 [回答]
 ・私は大阪から来たIターン者であり、老左近にやって来て、自然体験活動から始まり森んこというNPOを設立して活動してきた。そして、同じことを続けることと長く続けること、具体的には10年同じことを続けることで、ようやく地域の人から受け入れられるようになった。行政が自分達の活動と関係をもつようになるまでにはさらに時間がかかり、また行政が関係をもつことに対する地元の捉え方は、三者三様であった。そのような経験から、私は、自分自身で地域の方々に正直に話しをしていくしかないと考えている。自分の想いを一生懸命伝えて、あとは時間をかけてコツコツコツコツやるしかないと考えている。
■『続ける』ことに関して野村さんにもコメントをお願いしたい。
 [回答]
 ・平成15、6年ごろに地元でビオトープを作りたいって話をしたとき、最初は、カエルやトンボがいても、食べてはいけないなど必ずしも賛成してもらえなかった。しかし、その後色んな追い風が吹いて、今は10年以上活動を続けている。1、2年で、結果を出すのは難しいと感じている。(野村氏)
 [会場からの意見・感想]
・梨の木のオーナー制度の取り組みを初めて提案したとき、人が来るのはお断りしたい、梨が盗まれる可能性はないか、トイレはどうするか、農道に駐車してもらうのは困るなどの意見がでた。最終的に『農と地域のふれあいネットワーク』の責任で1年間実施したところ信頼を得て、それ以降も続けることになった。梨の木を借りる側には、梨の木の管理の義務や怪我は自己責任とすることなどコストやリスクも発生するが、たくさん梨が収穫できた場合はそれらが得られるメリットもある。そうして、10年以上続く活動になった。やり方次第だと思う。(多田氏)
■その他
 [補足説明]
 ・今回、町の大きな支援を受けられるようになった。その要因の1つは、京都大学との連携が重要であったと考えている。官と民と学が連携した取り組みは、進めやすいのかもしれない。それぞれが役割分担のもとに活動し、それを住民にきちっと伝えていくことが大事なことだと思う。
 ・よく行政から、地域住民の賛成が得られているかどうかを問われることがある。しかし、地域によって理解や関心の程度は異なるため、どこまでを地域住民とするかは難しい問題である。それを理解しながら、地域の活動に取り組んで行く必要があると思う。



(2)意見・感想(アンケート用紙から)
■自然資源の価値:(1)地域ブランドになる、(2)医・職・住、(3)観光・健康・環境、(4)自然の美・人工の美・人情の美。
■地域初の商品・サービスのブランド化と地域イメージの相乗効果との好循環により、地域外の資金等を地域内に呼び込めることを確信しました。
■生態系サービスについて、もっと聞いてみたいです。
■スペースが許せば、机・イスの配置を検討していただければ(発表者を中心に円形にすると)、より交流ができるのでは?
■アットホームな雰囲気ではありますが、内容はとても濃く、高度なものだったと思う。
■少人数で、まとまったフォーラムになったと思う。
■続けて行って下さい。
■毎回楽しく聞かせていただいています。
■県内各地の取り組みを聞く機会として、すばらしいフォーラムだと思います。新たな取り組みをされていることを知ることもでき、良かったです。
■このような活動をされていることを、県民に広く知ってもらえるといいですね。参加者が顔見知りばかりという点だけは残念です。
■色々な分野での実体験に基づいた貴重な体験談が、大変参考になりました。
■聞きたい分野の発表
・過疎化対策を行っている活動(あき空、古民家など)
・生物学的な要素を含む発表が多かったです。もちろん、勉強になりました。​


2017 ふくいまる里フォーラム
平成29年3月25日(土)開催
 ふくい里フォーラムポスター(0.8 Mb)
 『プログラム&発表要旨集』1.74 MB

 『フォーラム概要報告』0.6 MB

(1)議論(質疑応答を含む)
・内田圭先生(東京大学)
■生物多様性は経済的に評価可能か?
 [回答]貨幣価値のみならず、何らかの数値として示す方法が様々な研究によって現在考えられているところである。
■生物多様性に関する予算措置が取られにくいのは、経済的な評価が難しいことが一因ではないか?
 [回答]その可能性が大きいと考えられる。生物多様性の経済的評価は難しいが、生態系サービス(たとえば、水田を例に挙げると、お米の生産量に加えて、窒素の固定量、洪水防止に資する貯水可能量など)を数値で示し、併記することは重要だろう。
■生態系サービスの1つとして、景観の美しさも含まれるだろう。
 [回答]同感である。
■私達は自然観察会を行っているが、本日の発表から生物の調査の大切さを感じた。実際に調査を行うとしたら、誰にお願いできるか?
 [回答]生物の調査に大きな予算が配分されている都道府県は限られていると考えられる。一方、研究者が調査にどれだけの時間をかけられるかが重要だろう。また、研究者のみならず、地域の識者の方々にお願いできるよう調整するのも重要であろう。
 
・中村亮研究員(福井県里山里海湖研究所)
■北潟(あわら市)の地域において、北潟湖のフナを食べる人が少なくなってきた理由は何と考えられるか?簡潔に答えてください。
 [回答]要因はいろいろとあると思うが、一つ挙げるなら、現在の北潟湖のイメージが、水がきれいでフナを食べていた昔と比べて悪くなったことが一因と考えられる。一時期、水が汚れていたころのフナを食べた世代が、悪いイメージをもち続けているのでは。しかし実際には、今は水もきれいになり、フナもおいしい。
 
・野村みゆき氏(越前市エコビレッジ交流センター)
■活性化の方向性を誤ると、外来種を導入してしまう場合がある。また、効率性を求めると、水路が3面コンクリートになってしまう場合がある。
■人それぞれに価値観の違いがあるため、それらをどのようにまとめていくかが大きな課題である。
 
・西野ひかる氏(一般社団法人うみから)
■アマモ場再生に取り組んだ高校生は、小浜湾のどのような現状に気づいたのか?
 [回答]小浜湾の外海と比較して内海の自然環境は良いとは言えない状態にある。高校生たちは、ダイビングで潜った外海の景観と比較して、自分達の高校の前にある内海の現状を知った。また、アマモ場再生に取り組む中で、より深く理解するようになった。私達、大人にとっては、子どもの頃海で遊んでいた昔の記憶と比較して、現在の自然環境の悪化に気づかされた。大人たちは、海で遊ばなくなり、また海から遠ざかっていたため問題に気づかなかったが、高校生たちに気づかされた。大人たちが海から遠ざかっていたのは、小浜湾では砂浜や遠浅の海が少なくなり、海水浴場が減少していることも一因だと考えられる。
 
・全体討論
■活動を進めるにあたり、どのような活動をすればよいか、また、人、物、金に関することをはじめとして、アドバイスをくれる機関(相談できるところ)がない。そこで、フォーラムなどに参加して勉強するが、限界がある。そこで、横のつながりを強化し、アドバイスをもらえる制度または組織を作って欲しい。
 [回答1]研究者の役割として、研究以外に、問題を整理し提示するということも重要であり、そのような研究者が増えることを願っている。福井県立大学では、すでに活躍されている先生も少なくない。また、このフォーラムに、県内外の研究者がもっと参加し、新たな連携が生まれたり、地域の取り組みを後押しする研究者がでてくることを期待したい。さらに、市民と研究者が課題解決に向けて知恵を出し合うという姿勢が大事だと考えられる。研究者の役割として、余所者としての視点で現場を見ることができる長所も強調したい。
 [回答2]このフォーラムが、活動を進める際の相談の場となれば良い。また、フォーラムの中でそのような相談の窓口を作り、市民と行政や研究者とをつなぐ役割を果たせば、これらの活動の推進につながると考えられる。
■ある場所で芝生が造成されたが、その後、湿地のような状態に変化した。このような湿地で保全活動をしないで良いのかどうかを教えて欲しい。
 [回答]まず、現地の自然環境の状況を教えて欲しい。最近は、身の回りの自然を見る機会が減り、人知れず自然環境が変化している場合がある。このように身近な自然の変化に気づくことは、とても重要だと考えられる。
■福井の豊かな自然を都会にPRすることが重要だと考えられる。
■坂井平野のある水田地帯で、排水路のコンクリート化の工事が行われた。このような中で、どのように自然環境の保全を進めていけば良いか、アドバイスが欲しい。
■研究者には、市民の活動にヒントを与えて欲しい。
■国や県が里山をどうしたいのかを示して欲しい。また、地元も、自分達がどのように守っていくのかを考える必要がある。なぜなら、ビオトープを造成する助成金はあっても、その継続的な維持管理は地元の活動次第である。
 
(2)意見・感想(アンケート用紙から)
■発表者が今回紹介した活動について、その活動内容を継続した結果の報告を、数年後に聞ける機会を作って欲しい。
■現在は生物多様性に関しても関心度がうすいので、小中学生から「自然の環境」教育が必要と思われます。
■研究者が生物の調査を行うとき、市民と協働で行うやり方もあるのではないか。

■里山里海湖ビジネスの創出の可能性を探る。
■観光・環境・健康と医・職・住を融合した取り組みを行う。
■専門家の自然に関する知見と、「いろいろな里山里海湖の実践と研究」での足元の小さなフィールドに目を向けて色々な活動をされている実践例に、感銘しました。
■一人一人の力は小さいものですが、まず自分の足元の自然に目を向け、まず一歩ずつでも前に向けて活動をしていくことが大事だと思いました。
■広い範囲で圃場整備を行う場合、同時にいくつかのビオトープを作ることができれば、環境保全に寄与すると思う。
■寒ブナ漁の文化について面白かったので、他の文化も知りたい。
■生物の基礎調査の結果報告の情報が、今後の保全において重要だと思うので、より力を入れて欲しい。
■参加団体や参加研究者をもっと増やして情報交換したい。
■専門家のみならず、活動団体の参加を望む。
■活動団体には、アンケートを実施し(苦労・楽しみ)、その解決を目指す。
■近い将来は、連携の組織化を目的とする。
■福井県の自然の調査をもっともっと進めて欲しい。
■地域住民と里地・里山・里海活動は参考になった。これからどの様に進めるのか議論をしたらどうですか。
■福井の自然に関する神話や言い伝えの話を聞きたい(保全のゴールを決めるヒントになる)。
■福井に永年住んで来たが、今回の研究や調査結果の報告から、新しい知見が得ることが出来た。
■レッドデータブックについてはよく知るところですが、福井県内のことについては十分に知ることは少なかったが今回の発表で知ることが出来ました。
■生物多様性の変化と災害ハザードの関係についての発表は新しい考え方だと思ったが、やや難しい分析であったように思った。
■生物文化多様性という言葉について初めて知った。
■農業基盤整備と親水景観の荒廃が如何に自然の多様性を失うかということで、残念であった。しかし、これからの多様性の再生については、排水溝や溜池を中心とした親水デザインを構築する必要があるとのことであった。







 

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