三方湖は湖面の様子がすっかり変わりました。今月初めまではヒシで覆われているところが多かったのですが、この10日ほどでヒシはすっかり枯れて沈んでしまい、湖面全体に空の色を映すようになりました。そして、北から渡ってくる野鳥が少しずつ増えつつあります。
湖面のヒシが消えた三方湖 渡り鳥のカルガモ
陸の上では、シジミチョウやヒョウモンチョウ、モンシロチョウなど、数は少ないものの羽ばたきを見せています。暑い季節が長くなった分、どうも秋と呼べる季節が短くなりつつあるようです。
シジミチョウ ヒョウモンチョウ
これから紅葉のシーズンですが、
三方湖の周りはまだ木々が少し色づき始めたところです。やがて渡り鳥が増えるにつれて秋色も変わっていくことでしょう。
今日は9月27日。お彼岸も過ぎて数日ですが、ようやくヒガンバナが見られるようになりました。地球温暖化の影響なのか、ずいぶん遅い開花です。ヒガンバナが遠慮がちに咲いているようにも感じられます。
三方梅の木陰で静かに咲き出しています。
その一方で、三方湖のヒシは葉が茶色に変わり、秋の深まりを教えてくれています。こうなると、葉を餌にしていたハムシがたくさん「上陸」してきます。自然観察棟もハムシがいたるところに見られます。
水辺の草木も緑が淡くなり、秋色に変わっていきます。水鳥や昆虫もそろそろ冬に備えて、なにかしら準備にかかっているようです。
写真には収まりませんでしたが、オオバンやホシハジロなどの渡り鳥も徐々に姿が見られるようになりました。これからは、日一日と北からの渡り鳥で賑わっていくことでしょう。秋の草花も遠慮なく花を咲かせてほしいものです。
自然観察棟前の船着き場で大きな貝を見つけました!
ハマグリ?いえいえ、マルドブガイという淡水二枚貝だそうです。(写真は死んでいたので貝の身は取り除いています。)
福井県レッドデータブックによれば
「県内では三方湖と流入する別所川河口周辺に生息するが,生息数は激減している」とのこと。
マルドブガイを含む淡水二枚貝は、幼生のときにヨシノボリなどの魚に寄生しないと変態することができません。
さらに大人になった貝はタナゴの産卵母貝になります。タナゴたちはマルドブガイを含む淡水二枚貝がいないと子を増やせないのです。
マルドブガイは子を増やすために魚を必要とし、そしてタナゴが子を増やすときに必要とされる。
生き物のつながりを感じさせられました。
猛暑の夏が過ぎ去り、秋の気配が少しずつ感じられる季節になってきました。しかし、真夏日があるかと思うとぐずついた日もあるなど、体調管理もなかなかたいへんですね。
三方湖も天気が良ければ夏景色そのままです。でも、生き物は夏から秋へと変化をためらいません。
自然観察棟から湖面を眺めると、ヒシが白い小さな花をつけているのが分かります。ヒシは湖底から湖面まで2mあまりの水中根を伸ばして葉を広げる植物です。三方湖に注ぐ鰣川河口にもたくさんのヒシが群生しています。
水辺にはシオカラトンボやイトトンボが飛び交ったり、羽根を休めたりしています。赤トンボも少しずつ姿を見せ始めました。秋が少しずつ近づいてきているようです。