まだまだ寒さ厳しい毎日が続いていますが、そろそろ2月を迎えます。日の出や日の入りの時刻、太陽の高さなどが少しずつ変わってきています。三方五湖の岸辺の木々もそろそろ芽吹く構えを見せているようです。
これはコブシの木です。去年できた実がはじけて殻だけ残った枝には、毛をつけたつぼみがふくらみ始めています。
こちらはオニグルミです。まだ固いですが、大きな冬芽がおもしろい形を見せてくれています。
ソメイヨシノはまだまだ小さな芽ばかりです。弥生3月はまだちょっと先ですね。
ウメはつぼみがふくらんできました。やがて湖を取り囲むようにたくさんの梅の花が咲き誇ることでしょう。その頃には少しでもコロナが収まっているようにと、願っています。そのためにも感染対策を心がけていきましょう。
福井県立若狭歴史博物館で開催中の企画展「ちょっとむかしのくらし展~漁業編~」を見学してきました。
この企画展は、研究所の樋口研究員が展示協力をしたもので、若狭地域のむかしのくらしの道具を展示し、ちょっとむかしのくらしについて紹介しています。
三方五湖は塩分濃度や水深などに差があり、それぞれに対応した様々な漁法があります。
今回の企画展では、それに使われていた漁具も多く紹介されていました。
筒漁等に代表される三方五湖の伝統漁法は、魚の出入りが自由な漁法で、いつでも捕獲できるとは限らないそうです。
しかし、この出入り自由の漁法は、乱獲を防ぎ生態系を守るうえに魚も傷つけない漁法であり、環境に優しく持続可能な漁法です。
また、長年培われた漁師さんの知恵によって身近な材料で作られている漁具は、規格化された工業製品に見なれてしまった私にとっては原始的でありながらもとても画期的でした。
「ちょっとむかしのくらし展~漁業編」は2021年12月18日(土)~2022年3月13日(日)まで、開催しておりますので、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
12月1日が悪天候のため、晴れ間が見える2日の午後から「たたき網漁」が始まりました。
「たたき網漁」は、冬場、湖の水温が下がり動きが少なくなったコイやフナなどを、水面を竹竿で叩いて驚かせ、仕掛けた刺し網に追い込んで捕らえる伝統漁法です。
今年はまだ湖水の温度が高くて魚が活発に動くので、船外機の音で逃げてしまい、初日の今日はあまり多くは捕れなかったようでした。
陸に上がって、捕れた40cmほどのフナを、漁師さんが手早く刺身にしてくださいました。
一口味見をさせていただきましたが、泥臭さもなく、さっぱりした味でおいしくいただきました。
ところで三方五湖自然観察棟にある水槽では、三方湖に生息するコイやフナを展示しています。この水槽でも最近、水温が下がった影響でコイとフナが仲良く一か所に集まり、じっとしている様子がうかがえます。なるほど、湖の中でこの状態でいるところをたたいて驚かされているんですね。
そんな生き物たちや漁法について解説させていただきますので、ぜひ、自然観察棟にお越しください。これからは水鳥もたくさんやってきますよ。
スタッフ記憶箱シリーズ⑤ オオバンです。
オオバンはクイナ科に分類されますが、クイナ科の中では大きく太っている鳥です。体も翼も黒く、額からくちばしまで白いのが特徴です。川や湖の上を首を前後に動かしながら進んでいく姿に、ほのぼのとしたものを感じます。
他の水鳥と同じように群れを作りますが、単独行動でえさとりもします。水に潜って水草や昆虫をとることができます。また、写真のように岸に上がって水際のコケをくちばしでこすり取って食べたりもします。
繁殖地は北日本、北東アジアからシベリアまでと広いですが、東日本以西では周年生息している場所も少なくありません。
ところで、オオバンの趾(あしゆび)には特徴があります。それぞれの趾から葉のように膜が広がっているのです。カモなどの趾に見られる水かきは、指と指の付け根に膜が張っています。オオバンは指の各関節の横から膜が広がっているのです。オオバンやカイツブリの仲間に特徴的で弁足と呼ばれます。
師走に入りました。渡り鳥も少しずつ数が増えてきています。
さて、12月1日に、三方五湖自然観察棟へカメラ取材が入りました。ご存じの方も多いと思いますが、あのFBC「ふれあい若狭」の取材です。
ちょうど朝からマガモの群れが飛来していて湖面は久しぶりの大賑わいです。カモたちもテレビに出たがっているのかな・・・
リポーターさんと撮影スタッフの皆さんもカモを見て和んでくださいました。マガモ、カルガモ、オオバン、カンムリカイツブリなどを見つけて歓声をあげておられました。どんどん熱中していき、まだ飛来数の少ないホシハジロやオナガガモも見つけて感激してくださいました。
可愛いカモを見ていると時のたつのを忘れがちになります。今回も撮影終了後もずっと水鳥たちを見ておられました。
放映は来年1月9日の予定だそうです。
新採用職員の研究事務員 石田です。
11月25日、石井研究員とともに、三方五湖自然再生協議会環境に優しい農法部会の活動として、田んぼの土壌調査を行いました。
調査の目的は、再生協議会の部会で、環境に優しい農法に認定した田んぼにおいてその土壌断面を観測調査し、根の張りやすさや保水力、透水性、酸素の通りやすさ等の評価を行うことです。
地下の様子は目に見えませんが、一般的に田んぼなどの人間活動に影響を受けた土壌や森林など長年にわたって植生の影響を受けた土壌の断面には、いくつかの層が形成されるとのことです。
調査方法は、まず調査対象の田んぼに穴を掘り、断面が観測できるようにします。
本来は深さ1mまで掘るとのことですが、簡易に行うため作土を含めて50cm程度まで掘り、断面に現れた層の厚さや色、土の硬さ、土性等を判別していきました。色や土性の判別は経験が必要だそうで、今回の調査は、岩本昭夫氏の協力をいただきました。
(色の判別) (硬度の調査)
(土性等の調査)
全部で4か所の田んぼの土壌調査を行い、今後、詳細に結果を評価していく予定です。
様々な環境で耕作された田んぼの土壌の現状を把握し、土壌環境の保全を通して「環境に優しい農法」の普及をめざしたいと思います。
スタッフ記憶箱シリーズ➃ アオサギです。
日本のサギ科では最大級の大きさです。
頭部は白く、額の両側から眼の上を通って後頭までつながる黒色帯があります。後頭の羽毛は垂れ下がった冠羽になります。
陽の当たり具合によって印象は変わりますが、体は部分的にうすい青色がかった灰色が多く見られ、アオサギの名はその色合いに由来するといえるでしょう。
首は長く、嘴は黄色。飛んでいるときにキャッ、グワーなどの声で鳴きます。餌にする生き物の関係から、水田・湿地・川・湖沼・干潟などによく降り立ちます。年間を通じて高木の上にコロニーを作って営巣するのが普通です。
三方五湖でも、岸辺に降り立ち、集まってくる小魚の群れを長い首と嘴をうまく使って捕食する姿が見られます。
スタッフ記憶箱シリーズ③
三方湖畔で観察できる野鳥の中でも人気があるのがカワセミです。カワセミは、頭から背中にかけて鮮やかなコバルトブルーの羽毛を持ち、全長20㎝に満たない大きさですが、長いくちばしをもっています。
水辺の低い木や杭の上にとまって湖面に小魚が近づくのを待ち、タイミングよく水中に飛び込んで魚を捕えます。そして、すぐさま身をひるがえして元の居場所に戻ります。その野性的な動きは、見ている人の目をくぎ付けにします。
三方湖畔ではいつも出会えるわけではありませんが、運よく出会えたときにはちょっとした感動を味わえる鳥です。
三方五湖自然観察棟の下には鳥浜漁協の船揚げ場と桟橋がありますが、この写真はその桟橋の手すりにとまっているところです。
あとの写真も桟橋の杭の上と、すぐそばの木の枝にとまったところを撮影したものです。ただ、カワセミは長居はせず、すぐに居場所を替えてしまうことが多いので、なんとか撮影できた時はうれしい限りです。
9月22日(水)に三方小学校が学校田で取り組む環境に優しい農法の認証審査会を行いました。
環境にやさしい農法認証制度とは、農薬や化学肥料の利用を少なくする、もしくは使用しない、さらに、生き物や自然環境に配慮する取り組みが行われていることを条件とした三方五湖自然再生協議会の制度です。
例年、三方小学校の学校田(ゆりかご田)でつくられるお米はこの認証を受けています。
今年も無事認証されるのでしょうか?
まず三方小の子どもたちによる「ゆりかご田」の活動発表会です。
これをもって認証されるかどうかを決めるということで、
子どもたちはドキドキしている様子でした。
子どもたちの発表はすごく上手で感銘をうけました。
ゆりかご田でお米ができるまでの道のりやコイ・フナの育成、生き物調査の結果など非常にレベルの高い発表でした。
発表が終わり、次は認証するかどうかの審査結果の発表です・・・
見事、ゆりかご田は環境に優しい農法に認証されました。
これまで、本当に頑張って活動してきたので、涙を流していた子どもも見受けられました。
嬉しい限りです。
認証状の授与を行います。
子どもたち一人ひとりに認証状が渡されました。
そして、認証を受けた特典として贈られる環境に優しい農法ののぼり、認証シール、パンフレット、米袋もあわせて授与させていただきました。
最後に、長橋部会長代理による総評が行われました。
子どもたちの発表、ゆりかご田での取り組み等に対する賞賛のコメントでいっぱいでした。
これで、認証式終了になります。
これからもゆりかご田での活動に期待です。
すこしでも地域の自然環境について関心をもってくれたらいいなと思います。
彼岸花が咲いているのを見かけるようになりました。いよいよ秋です。
いたるところで稲刈りが行われ、研究所の近くにある若狭町立三方小学校でも、学校田の稲刈りがありました。研究所からも石井研究員、樋口研究員が参加しました。
三方小学校の学校田は、通称「ゆりかご田」と呼ばれ、三方五湖自然再生協議会の農法部会の「環境にやさしい農法認証制度」の認証を受けています。春先には田んぼで三方湖のコイ・フナの育成を行い、無農薬、減化学肥料で作られています。一番の苦労は草取りだそうで、農法部会のメンバーも何回か指導のために参加されています。
子供たちは手刈り作業と落穂拾い、大人はコンバインを使って脱穀作業です。暑い中、泥のくっついた重たい長靴で、しっかり水分補給を行いながら頑張ります。
草取り、稲刈りなどの苦労と楽しさを体験した子供たちですが、お米を大切に感じる気持ちは強くなったことでしょう。今日の晩御飯はきっとおいしいに違いありません。
ちなみにコンビニでコーラ1杯100円、ハンバーガーも100円のものがあります。茶碗1杯のご飯の値段は20円~30円です(※)。日本のお米は本当に高いのでしょうか?稲刈り作業をしている子供たちを見ながら、疑問に感じた今日でした。
※コシヒカリの販売価格(白米) 20,000円/60㎏として
茶碗中盛のごはんを150gから180gとして、白米にすると75g
60㎏÷75g=800杯
20,000円÷800杯=25円